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![]() 小説は男子高校生の主人公ワンドゥクが担任の先生を殺してくれという祈りを教会で捧げるシーンから始まる。ワンドゥクの父親は小人症の障害者で、キャバレーでダンサーとして働いており、母親は生まれたときからいない。担任は主人公が生活保護を受けることができることを教えてくれたのはいいが、配給の食糧を横流ししろと要求し、その上主人公の家が保護対象であることをクラスメイトの前で公言するデリカシーのない人物である。ワンドゥクはクラスで浮いた存在というわけではないが、心の許せる友達がいるわけでもない。自分の置かれた状況には不満だらけだがどうやって抜け出したらいいのか分からず、エネルギーは余っているが発散の仕方が分からない、という状況に少しずつ変化が生じ、全てがいい方向に変化していく、という典型的な青春ストーリーである。 文体はユーモラスであり、登場キャラクターたちもそれなりに魅力的だ。ストーリーの進行もそつがない。それでもどこか物足りないのは、どこか「教科書的」な部分があるからだと思う。主人公の男子高校生は育った環境にしては根が素直すぎるし、登場人物の中に本当の悪人はいない(ほとんど出てこない担任の父親は除く)。ただ、あとがきを読んで分かったことだが、この本は元々「青少年向け」に書かれたものだというので、それも仕方のないことだと思う。文体も平易ながらもユーモアに満ちていて、適度に俗っぽい(韓国語らしい)表現も入るので、外国人の学習用としても悪くない小説だと思う。 小説を読み返してすぐに映画を見た。映画は一言でいって「見ている間中笑えるが、終わった後に何も残らない作品」だった。登場人物が一人追加されたことを除いて、ストーリーは小説とほとんど同じなのだが、なんと言っても「ヤマ」がないのである。暗かった主人公の日常が、少しずつ明るくなっていって、そこで終わる。同じストーリーでも小説が面白かったのは、ユーモラスかつ青少年の感性(ある程度ステレオタイプ的ではあるが)に即した感情描写にあったのだが、映画ではその部分が一過性のギャグに置き換えられえてしまっているのである。よって、期待が大きかっただけに失望も大きかった。映画サイトなどでどうしてそんなに評価が高いのか分からない。なにか裏があんじゃないかと思ってしまうほどである。
by guixiang
| 2011-11-24 10:47
| 読書
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